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2025年4月の記事一覧
ところでさぁ
幼稚園で担任をしていたときの話です。
Aちゃんが、おうちの方の仕事について、自分が知っている情報を情熱的に伝えています。
A:「印刷の仕事はねえ、大きな機械を動かしてね、すごいたいへんなんだよ」
私:「そうなんだぁ。たいへんな仕事なんだね」
A:「そうなんだよ」
Aちゃんの動きが一瞬止まり、そして私の顔をじっと見つめて
A:「ところでさぁ、せんせいって、何の仕事してるん?」
私:「えっ?‼」(今度は私の動きが止まった)
保育者として、Aちゃんからもらった最高の言葉だったと思います。なぜなら、毎日、真剣に子供たちと遊んでいたことを認められたと思うからです。Aちゃんは、この「せんせい」という大人は毎日、自分たちと遊んでいて仕事をしているのかなあ、不思議だなあ、と思ったのではないでしょうか。
子供の言葉を大人の視座で理解(理解力の不足など)するなら、子供の心に寄り添う教育の実現は難しいと考えます。そして子供の姿は、保育者の保育についての評価であると考えます。子供の評価のみで、保育者自身の評価が外れていることはないでしょうか。(中村 崇)
ゴム跳び?
ある園の園内研修に伺いました。幼児の運動発達について、実技を交えながらの研修です。私は先生方に問い掛けます。「子供のころ、ゴム跳び、したことありますか?」
「あります。あります」(少数派)
「えー?ないです」(多数派)
あります、ありますの二人の先生にお手伝いいただいて、私がまずはやってみます。地域ごとにやり方は様々だと思うので、「○○町で生まれ育った、○○歳の私が子供のときにやったのは」と言いながら、「グー・パー・グー・踏み・グー・パー・ねじって・ピョン・A・B・C」と跳んでみます。
「おー‼」(拍手)と先生方が盛り上げてくれます。
続いて、あります、ありますの先生がノリよく、「○○市の○○歳がやりまーす」と言って、私とはちょっと違ったやり方を見せてくれました。
「おー‼」(拍手)と先生方が笑顔になります。
少数派は保育経験を重ねた先生方で、多数派はこれから保育者としての経験を積み重ねていこうとする先生方でした。このように自分の子供時代に遊んだことなどを実際の動きとともに伝え合う機会は、相互理解を促し、同僚性を高めることにつながるでしょう。
また、自身の幼少期の記憶をたどってみると、子供にとって遊ぶこととは何かについて、じっくり考えるきっかけになるのではないでしょうか。(中村 崇)
駄菓子屋のおばちゃん方式
子供のころ、「おぎんちゃんち」という駄菓子屋さんに仲間と一緒によく集まっていました。店主のおぎんちゃんは、子供たちをよく理解していたように思います。今で言うインフルエンサー的な子に、「今度、学校でビー玉、流行らせておくれ」と言って、ビー玉が数個入っている袋を無償(ただ)で渡すのです。ビー玉をもらったその子は、仲間にビー玉で遊ぼうと誘い、瞬く間にビー玉が流行り、「おぎんちゃんち」の売り上げは伸びることになります。
私は教師・保育者になってから、この現象を思い出し、人の行動変容に係る環境(人的なものを含める)の重要さに気付いたのでした。それ以降、私はこれを「駄菓子屋のおばちゃん方式」と呼んでいます。(中村 崇)