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カテゴリ:幼児教育
クリティカル・シンキングのすゝめ
みなさんは、「体育座り(三角座り)」について、何か思うところはありますか。深く考えたことはないけれど、体育館・遊戯室等に集合したときや体育・運動会のときの「正しい」座り方だよね、と思っていますか。私は、大いに言いたいことがあります。みなさんは、子供たちへの願いとして、自分の考えを生き生きと表現し、友達の意見を傾聴して刺激し合いながら学んでほしいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。しかし、「体育座り」の姿勢は胸を閉じるようになり、自己を発揮する姿勢とは真逆です。姿勢の状態が心の在り方に重要な影響を与えることを示唆している研究もあります。「体育座り」の姿勢は、心理的に「閉じている」ことを表す姿勢です。この姿勢が、いつから教育現場で活用しはじめられたのかを調べると、1965年に当時の文部省が「集団行動指導の手びき」で「腰をおろして休む姿勢」として紹介したことがきっかけでした。一例なのです。しかし、保育者・教師側から見ると子供の管理がしやすい姿勢と認識されたので全国的に活用されたと思いますが、子供側から見たときには自由感を感じにくく自己発揮しづらい姿勢と言えるのではないでしょうか。現在、腰への負担や内臓の発達への負の影響が医学的な立場から懸念されています。
しかし、今回本当に言いたいのは前述の事柄ではありません。実は、「体育座り」にまつわる話に似たような現象が、今、「架け橋期のカリキュラム」においても起きつつあるのではないかと心配しているのです。文部科学省が公開している「幼保小の架け橋プログラムの実施に向けての手引き(初版)」の「3-(2)開発会議で開発する架け橋期のカリキュラムのイメージ」に、私の心配の発端があります。この「架け橋期のカリキュラムのイメージ」には、致命的な弱点があると感じています。まず一見、一枚紙にまとめなくてはいけないような印象を与えています。さらに、「園で展開される活動/小学校の生活科を中心とした各教科等の単元構成等」の欄があり、○○遊びと記入したくなったり、単元名の羅列になったりする可能性が強いのです。そのような記述をしても、何の意味もありません。幼児教育の指導計画や週・日案の「内容」の部分が大事なはずです。すなわち、活動名・遊びの名称・単元名ではなく、発達を念頭にそこで経験させたいことを明記することが意味あることではないかと思うのです。経験させたいこととは、学校生活や教科教育の基盤となり、そこでの発揮が期待される資質・能力≒非認知能力と考えます。しかし、幼児教育施設の指導計画等を見ると、いまだに内容として「○○遊び」と記入している園が多いことを考えると抜本的な改革が必要なように感じます。文部科学省の上述の資料の解説をじっくり読めば、単に活動や単元名の羅列をするものではないことは分かるのですが、例示された表のインパクトが強くて、一般的には理解が深まっていないように感じます。また、ここで作成した「架け橋期のカリキュラム」と、従来の指導計画とで、二重の計画ができてしまう中で、それをどう活用するというのでしょうか、という疑問も浮かびます。私は、文科省が示したのは一例だよ、と大きな声で言いたいのです。
そこで着目していただきたいのは、群馬県総合教育センター幼児教育センターの開発した「ぐんま架け橋プラグラム」です。上述の懸案事項を乗り越える提案と自負しています。Webページにて公開していますので、ぜひご活用ください、また、保育アドバイザー派遣事業にて、「ぐんま架け橋プラグラム」の活用に向けての研修も提供しています。(中村 崇)